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Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

感想: エドノミクス~歴史と時代劇で今を知る

「江頭」という名前の知人がいるが、どうしても、「江頭」と聞くと、2:50を思い出してしまう。

同じく、「春日」といえば、漫才師の「春日」を思い出してしまう。でも、数十年前なら、「春日」といえば、「春日八郎」だろう。

では、「日本」といえば、イメージする原風景的なるものというと、国内からも、海外からも、江戸時代といえるかもしれない(著者の飯田氏が指摘している)。そんな心のホームである江戸時代に対して、「経済」と「時代劇」という2つの視点から、切り込んだのが本書だ。

タイトルは、当然アベノミクス(経済)に引っかけたものだ。その経済についてのナビゲーターが、テレビ朝日系モーニングバードのレギュラーなどで著名な飯田泰之(明治大学)准教授。そして、時代劇からの視点でナビゲートするのが、最近はこの人しかいないだろうという感じがする春日 太一氏。



4つの章に分かれ、各章の冒頭に飯田氏と春日氏が概要を対談。その後に、経済の視点から飯田氏が、時代劇の視点から春日氏が文章を書いている構成。4つの章は、江戸初期、元禄、吉宗、幕末を軸に構成されている。江戸時代と一言で言っても、なんと260年続いた長きにわたるものだからだ。明治維新から平成まで、まだ150年というスパンからみれば、260年というのがどれくらい長いかということを感じることができるだろう。

最初、対談本なのかぁと思ったのだけど、対談の分量よりも、各著者の解説の分量が多い。

飯田氏は、数年、江戸時代の経済をテーマにしたセッション等を開いているが、残念ながら参加できなかったため、やっとじっくりと話を聞けた。

経済学者らしく、貨幣(インフレ、デフレ)というカットで幕府、江戸時代に切り込んでいくのは、とてもおもしろい。本書で知ったことでは、江戸時代後期になると、貴金属を基本にした貨幣(金の含有量がXXグラムだと1両というようなもの)から、額面価値がほとんど変わらなくなってしまったという流れは、非常におもしろい。例えば、一両金貨を溶かしても、一両分の金は出てこない。現在の日本では、1万円の製造コストは、数十円なので、原価と額面価値が一致しているわけではない。でも、一万円は一万円。原料に分解しても、一万円にはならない。つまり、貨幣制度については、現在の日本とどういうの貨幣制度(信用をベースにした)ものに突入していると言うことなのだ。

実は、本書のよさは、この飯田氏の解説に(高校の後輩である!)春日氏が、その時代を元にした時代劇を紹介することで、話が立体的になっていることだろう。

春日氏が、時代劇が時代の流れに合わせて、批評性、現代性を持って作られていったことを綿密に紹介する。例えば、忠臣蔵。忠臣蔵は、単なる忠義ものといったものから、ビジネス的視点で製作されたものなどの時代にあわせた切り口を変えた視点で製作されてきていることを紹介する。

時代劇といっても、徳川家康、宮本武蔵の時代から、暴れん坊将軍の時代、木枯らし紋次郎や国定忠治の時代、幕末などいろいろある。その時代の背景(飯田氏の視点)と製作者の意図(現代性)を加えてみると、また違った見えてくる。

本書は、願わくば、映画やテレビの動画を組み合わせた上で、セッションなり、動画イベントなりを開催してもらえると非常にうれしい。

時代劇の基礎学力がなくなってきている今こそ、ぜひ、読んで欲しい一冊です。



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