Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

エンジニアサポートCROSS 2013「クラウドな働き方 x 介護」と陰湿な社会にならないために

金曜日に、ウェブテクノロジーを中心にしたイベント『エンジニアサポートCROSS 2013』が開催されました。いい機会ということで、弊社 MKTインターナショナル(株) として、スポンサーをしてみました。超有名な企業に混じってのリスト(苦笑)。

さて、当日は、仕事の都合もあり、夕方のセッションのみ参加ということでしたが、みなさん、楽しまれてたようでしたので、よかったです。

参加できたセッションの1つは、「クラウドな働き方 x 介護 〜来るべき育児と介護をどうITの力で乗り越えるか!?〜」です。

セッション内容は、セッションオーナーである小室さん (@ayakomuro) がまとめられていますので参考にしてください。

ちょっと遅れて参加したので、個別の話の内容よりも、雑感をミクロとマクロで考えてみます。

介護といえば、思い出すこと。1年半ほど前に、知人である勢村さんが、介護サービスを行う小規模デイサービス提供企業フォースリーフ株式会社を起業されています(ぼくと同時期の起業)。ぼくのIT業界での知人で介護サービスを実施する企業を始められたのは、勢村さんだけです。コンパックやレッドハットで営業されていた勢村さんが、どのような思いで起業されたのか。いろいろと思いを感じます。ぼくは、「キャリアは、仕事だけではなくて、生き方」の話ですと会話する機会が多いです。そんな思いを彼には見ています。

マクロとしては、セッションの最後の方に議論があったものです。「お金」の件です。ここは、大切なポイントですが、議論がしにくいところでもあります。

介護は、日本全体でみると社会保障の分野にあたります。社会保障については、政府の予算問題を含めて、いろんな論者が議論をしています。その社会保障を考えるときは、ある程度は自分の所得や年金でカバーして、ある程度は、公的支援を受けるというのが一般的では考えます。そのため、社会保障の費用をカバーして行くには、自分の所得を増やしたり、税収を上げて、増収分を予算にあてることで、つまり、経済成長を行うことで、対応してこうという考え方がでてきます。これは、一般的には、「成長・再分配」というポリシーになります。

しかし、一方で、「経済成長を目指す必要はない、ゼロ成長でいいんだ」という根強い主張が、特に日本には多くあります。このとき引用したいのが、この飯田先生(駒沢大学)のインタビューにある意見で、ぼくも賛成しています。

どんな社会においても、いままでよりもっと稼ぎたい、もっと豊かになりたいと思う人がいなくなることはない。仮に成長ゼロの社会が成立したとしましょう。ゼロ成長社会である人が豊かになるためには誰かから奪うしかありません。いままでより少しでもよい暮らしをしようとして、みんなが他人の脚を引っ張り合う……そんな陰湿な世界は、少なくともぼくは勘弁願いたいですね。パイの全体が成長するなかで、競争の結果としてうんと儲ける人、ほどほどの人、昔のままの人が混在する社会がよい。

この文脈だけでは、豊かになりたいということですが、もし、社会保障の予算を今より増やす、あるいは、社会保障にあてる自分の費用を増やすということを考えだとしたら、誰かから、奪い取る必要がでてくるということですよね。

なお、飯田先生は、成長・再分配のスタンスです。このあたりの議論は、『経済成長って何で必要なんだろう?』をお勧め。

続いて紹介したいのが、山形さんのコラム。
今回のエンジニアサポートCROSS 2013の盛会を支えているものは、90年代後半のLinux/オープンソース運動を基点にしていることであることは、いうまでもありません(Linuxの成功がなければ、ウェブの隆盛は、もう少し遅れたと思います)。その初期の頃に、重要なドキュメントを翻訳紹介していたのが、山形さんです。

  • 「元を取る」という思考の落とし穴 山形浩生(評論家兼業サラリーマン) 《 『Voice』2013年2月号より》 http://shuchi.php.co.jp/article/1291

それ(注: アベノミクスのこと)によってパイが成長し、みんなが他人の損だの原価だのを気にせず、自分の好きなものを飲み、食い、やれるような国に日本が再びなれますように。それがぼくの新年の願いだ。

ぼくも、そんな日本で、陰湿じゃない社会がいいと思います。

最後に、今回、エンジニア向けのイベントで、介護関係のトピックで90分もセッションがあったのは、初めてで、すごく尊敬します。集客を考えると、やはり、旬で、役に立つテクニカル情報を!となるのですが、 このようなテーマを持ってきたスタッフの方々は、すごいです。

最後に、宣伝。

キャリア、生き方、仕事などを考えるセッションを、2月23日(土) オープンソースカンファレス2013東京 で、自分を創る・考えるキャリアデザイン』セッションを行います。上で取り上げた経済関係の話を経済評論家 上念司氏に講演いただり、今回も話題になっていた在宅勤務やリモートオフィスなどを積極的に導入しているヒューレット・パッカードの人事取締役やオラクル社のアジアパフィック部門エンジニア部隊のマネージャの方々に登壇いただきます。ぜひぜひ参加を。FBのイベントページでは、すでに25名以上の登録です。