感想 『首折り男のための協奏曲』(伊坂幸太郎著)
伊坂幸太郎氏の本は、でたら感想をブログに書いているれど、『首折り男のための協奏曲』はまだアップしていませんでした。
春にはすでに出版されていたけれど、多忙な時期で積読状態というより、あえて購入せずにおいていた一冊。先週末の出張中に読み切り。
本書は、各所ですでに発表されていた短編を出版に合わせて修正し、7編の連作集にしたもの。しかし、通しで読んでも、ストーリーがつながっているというわけではなく、登場人物がいくつかで重なっている程度のつながり。
伊坂氏の本を好きな人には、「僕の舟」がおすすめ。初老の夫婦の物語。寝たきりになった夫を介護する妻が、若いころに出会った男性を探してほしいという依頼を探偵黒澤にする話。
今までの伊坂氏とちょっと違った風の小説も収録されているというところでは、最後の「合コンの話」がよかった。
合コンに参加した男女の会話と、その会話の裏の本音を組み合わせたストーリーテリングを含めて、心が温まる。
伊坂氏の小説は、大震災前は、大学生だったり、大学生気分の強い感じの主人公だった雰囲気だったけれど、最近は、お子様も生まれたためか、親としての主人公を感じるようになったです。
あと、心が温まるストーリーが多いとされているけれど、昔から、殺し屋が出てきて、本当に人を殺してしまう話が含まれているのは、今作でも変わりません。
伊坂ファンなら、買い。伊坂入門書としては、「僕の舟」だけ読めばいいかなという感じ。
星は、3.5かな。。