Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

伝わる英語の話

ここのところ、ひさびさに、英語で仕事したりや、ラジオポッドキャストをきいたり、話をすることが多かったので、軽く考えをまとめます。
特に、英語について、考えることが多くなった理由の1つは、久々に翻訳を行ったということがあります。翻訳については、最後に。

議論の出発点としては、こちらがいいでしょう。TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』の特集から。

「グローバルな人材育成のためには、子どものうちから英語を学ぶべきなのか?」というテーマ。途中で参加した自民党代議士や早期教育が必要を主張する人に話していたのが、以下の点です。

  1. 日本人の英語が下手である
  2. 日本の英語教育は、文法重視で、話す・聞くがない。だから、外国人とコミュニケーションがとれない
  3. だから、早期教育やTOEFLを導入したら、コミュニケーションをとれるようになる
  4. 英検だと、コミュニケーションとれない

番組中に、なんどもチキさんが、議論の整理をしているのですが、質問を理解できないモードの代議士のため議論は、深まりませんでした。(この代議士かなりひどいので、結構ブログに批判が出てるので検索できます)。

さて、問題点を整理すると、以下になるでしょうか。英語が必要かどうかは、必要という前提にします。

  • 英語の早期教育をすれば、日本人は英語で「コミュニケーションできるようになる」のか。
  • 今の英語教育や英検は、ダメなのか?

最近、いくつかの場所で雑談していたことが、1点目に通じます。そもそも、英語をしゃべることと、コミュニケーション能力が高いことが、一緒になっていることが、理解できません。英語のネイティブにも、コミュニケーション能力が高い人もいれば、低い人もいることを考えれば、英語のできる、できないと、コミュニケーション能力が高い・低いが同義でないことはわかると思うのですが、そういう議論になっていないようでした。

そもそも、日本語でまともにコミュニケーションできない人が、突然英語だとできるとは思えません。例えば、過去の経歴や今の仕事でも、通訳を入れた会議には、出席することがよくあります。残念ながら、通訳を入れたからといって、相手にきちんと意思が伝えられている人は、多くありません。伝えるために必要な話し方、要点の絞り方、相手の意図の把握ができていないので、通訳ですら、何を通訳したらいいのかがわからず、途方にくれたり、話されたことを通訳しないときも多いです。経験的には、エンジニアの人の方が、事務系の人よりも、通じることが多いです。これは、ロジカルに話す教育されているからだと思います。そのために、通訳もしやすくなるのでしょう。つまり、英語の能力以前に、伝えるというスキル不足が課題だと思います

2点目は、日本の英語教育についてです。教育問題については、ほぼすべての日本人が、学校教育を受けているために、自分自身のいい経験・悪い経験が意見に反映されすぎます。他の議論になるテーマであれば、専門家の意見なども尊重されることが多いですが、こと、教育になると、経験をベースに話してしまう傾向にあるのは、多くの人もご存じでしょう。さて、英語教育です。およそ40歳以上の人たちが、受けていた中高の英語教育と、今の中高で受けている英語教育は、かなり違うことは、理解しておいた方がいいと思います。例えば、共通テストですら、ヒアリングの試験があり、中高の教科書も読むよりは、会話重視の教材です。その上で、批判をした方がよいと思います。

次に、いくら教科書がよくても、先生の質の問題がどうしても存在します。こちらは、すぐに質の高い教員を全国くまなくそろえるには、時間・投資がかかります。特に、発音に関しては、「通じれば、発音なんて」という人も多いですが、やっぱり、きちんとできた方がいいと思いますが、これを教育できる教員は非常にすくないでしょう(たまたま、高校二年生のときの上智出身の先生が、かなり発音の教育をしてくれた経験あります。しかし、時間不足だった)。これは、自分一人では学ぶのは困難なので、ぜひ強化して欲しいところ。また、全体の授業数がいかんせん、少なすぎることが問題ですね。塾に行っている生徒なら、問題はないと思いますが(しゃべれしゃべれと、いう人多いですが、読む量が少ない学生がしゃべるスキルを大きく伸ばせるわけでないと指摘する先生も多い)。

あと、英検は使えないという意見があったのですが、こちらは、かなり疑問です。こちらの英語情報サイトにあるように、だいたい、英検,TOEIC,TOEFLの各点数には、相関的なところがあります。「留学資格の証明」としては、英検はつかないですが、英検1級の人が、英語を使えないということとは同義ではありません。

続いて、翻訳の件です。僕は、今まで、10冊以上技術書を中心にして翻訳書を出しています。すべて、複数の人の名前ででていますが、一部を除き、ほぼ、自分で翻訳か、下訳のあったものを校正、翻訳しました、また、社会人での最初仕事の1つが、マニュアルの校正であったり、マーケティングに移動してからも、セールスドキュメントの校正も多く行いました。翻訳された場所も、日本だけでなく、中国、東ヨーロッパ、旧ソ連圏のどこか、米国、カナダなど多数です。そんな経験から思うことです。

結論としては、「英語ができる人でも、翻訳はできないことがかなり多い」です。日本文は間違っていないけれど、読むための文章としては、使えないことが多かったです(逆いえば、僕のように少々英語がイマイチでも、翻訳はできる)。そして、結構誤訳も多い。(もちろん、きちんとできる人もいますので。。。一緒に翻訳した人に誤解されると困りますのでw)技術書の場合は、特に新しい概念のテクノロジー紹介が多くなるために、技術的なバックグラウンドがないと、内容や意図を類推できないことが1つにはあります。また、オープンソース関係の書籍などでは、テクノロジー以外にカルチャーに起因する記述かなりあり、その分野を知らないと意味がわからないことがよくあります。そのため、きちんと監訳があったり、編集がついてないものだと、かなり悲惨なものがあるので、原典にあたれるものは、当たってみましょう。

まとめ

日本語は、英語に比べ、社会階級により、大きな違いはないといわれています。しかし、日本語でも、その人が使う語彙やしゃべり方によって、その人が持つ文化や教養、知識が見え隠れします。極端な例では、女子高生がしゃべるような話し方は、大人の女性はしないといったようなものです。英語では、さらに大きく差がわかります。ぼくの英語力では、詳しい差を指摘はできないのですが、大学生が使う英語、ビジネススクールに通う大学院生の英語、会社で平社員の英語、偉い人の英語は、聴いていて差があるのがわかります。

なので、英語を使って、伝わるコミュニケーションをするには、しゃべり方、態度、語彙、教養などもしっかりとと思います。