Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

仕事のパフォーマンスが急激に劣化するおじさん

『漢のコンピュータ道』で、次のエントリが上がっています。

nippondanji.blogspot.jp

圧倒的大多数の人は適正な評価を下せない

最大の問題点は、ITなどの専門分野の記事や書籍は、その専門知識をきちんと持っている人にしか、適正な評価は下せないということだ。書店から書籍を購入する人は、その分野の知識を学習するために書籍を購入する。

こちらは、記事や書籍について記述されていますが、企業においても、上位マネジメントが、専門知識を持っていない人、あるいは、経験値が低い人が、部下、同僚の評価をきちんとできないという構造もあります。

エンジニアでよくあるのが、「上司が技術をわからない」ので評価できないというものがあるでしょう。しかし、これは、エンジニアに限った話だけではなく、例えば、営業上がりのエグゼクティブは、経理のことがよく分からず、経理の人を冷遇するとか、そんなことはよくあります。

評価に求められるのは、昔からいわれるように、納得性、公平性、客観性が必要だといわれています。そんな中で、長いサラリーマン生活をしていて(国内、国外の事例を見て)、評価が、どうしてもおかしいの違うの? というのをよく見ていました。

急激にパフォーマンスが劣化するおじさん

代表的なのは、20-30代では、すごくパフォーマンスに優れた人が、40代に入った頃から、急激にパフォーマンスが劣化するおじさんになるのです(ぼくもその年代なんですが)。

そのおじさんたちは、企業の中では、意外なほど部長、本部長、執行役員なんていう肩書きを持っている人が多くいるのです。

かれらは、

働かないおじさん」 ではなく、

急激にパフォーマンスが劣化するおじさん」 です。

昨今は、いろんな企業も大変なので働かないおじさんを雇用し続けるのも大変なのですので、働かないおじさん(ソリティアおじさんともいわれる)は、個人的には減っていると思っています。

が、それとは違って、働いてはいるのだけど、「急激にパフォーマンスが劣化するおじさん」がいるのです。(徹夜ができないとか、長時間残業ができないとかというのではなく、仕事のアウトプットが劣化する)

昔から観察しているのですが、本人はパフォーマンスが落ちているという実感はなさそうなのです。

理由は、いろいろと考えてはいますが、本人に起因するものと、上司などの関係者に起因するものがあると思います。

上位マネジメントが、同期や部下も同じように成長していると思っているという誤解

これは、意外に知られていない気がしていますが、事例は多くあります。ビジネスパーソンが、自分の成果を上げて、昇進していくときには、同時にその人の能力もあがっていくことがよくあります(これは、幸せな関係)。しかし、その人は、自分の部下や、同期も同じように成長していると勘違いしていることが多いのです。

その人は、部下も同期も成長していると思っていますから、自分の昇進に併せて、自分が関係するポジションに彼らを配置(昇進)させるのです。

しかし、残念ながら、自分の成長と、他人の成長は違うのです。

彼らは、平社員や課長レベルでは、非常にすぐれたパフォーマンスを発揮するのですが、上位ポジションでは、「細かすぎる」「根性がない」「命令ばかりする」といったことで、
組織のパフォーマンスを劣化させる方向に成長するのです。

本人としては、昇進もしていきますから、自分の能力に対する自己効力感は上がっています。

上位マネジメントは、自分が人を見る目がなかったということは認められませんから、配置転換は難しいので、だめなおじさんは、劣化したパフォーマンスで、仕事を続けます。

(少し違いますが、ベンチャー経営者が、企業の成長過程で、初期のメンバーと考えが乖離していくというのはよくある話です。経営者の本などを読むと、経営者の成長に比較して、他の社員が成長できないことがあるといった意見があります。人の成長には差ができるというのは、企業の規模を問わず起こることでしょう)。

その人の本性が現れる(1)

大きな企業では、いろいろな部署や人から、「頼まれる」仕事がある人がいます。前職時代でいえば、マーケティングはその典型的な職種です。

  • お客様からLinuxについての戦略を聞きたいと頼まれましたので、お忙しいでしょうが、同行お願いできますか?
  • XXという展示会があるのですが、貴社にぜひスポンサーをお願いしたいのですが?
  • 値引き承認が必要ですが、承認お願いできませんか?
  • ぜひ、XX分野でのアライアンス活動を進めませんか?

などなどです。企業は、ヒトモノカネといわれますが、マーケティング費用などのカネに絡んだことは、この手の傾向が増えると思います。

人の本性は、こういったときに現れると思うのです。

このような役割を持つと、『自分が偉い人』になったということを勘違い(勘違いでなく実際に昇進していることもあるけど)して、やたらと、態度がでかくなったりします。

こういう態度になった人は、自分に依頼がたくさん来ることが、仕事をたくさんしていると思っていますので、働かないおじさんではないのです。自分に依頼がくることがとてもうれしいので、権限委譲などはやりません。そして、自分が手を動かすよりも、より下部へ、あるいは小さな企業に仕事を丸投げしたりします。そんな命令や依頼をできる自分が好きですので、丸投げしているという理解はしていません。

また、話題の成長企業に勤めていると、講演依頼や取材を受ける機会があり、目立つことも多くあります。そういったときに、成長企業がその目立つ機会をもたらしているにもかかわらず、『自分が評価されているからだ』と思う人がよくいます。そういった人も、注意が必要だと思います。

(独立してから、小さな企業の人として、それまでつきあいのなかったこの手の成長企業に訪問したときには、この手の人から、ありがたいご説教を、何度も聞いております。仕事の手を動かせないスキルの人が多いので、その後、消えていったりしますし、うまく渡り歩く人もいます。)

その人の本性が現れる(2)

大きな企業では、やたら社内政治の好きな人がいて、仕事もほどほどに、組織拡大に全精力を注ぎ込む人がいます。やたらと、部下の人数を増やす活動をしたり、部署ごと吸収しようとしたりです。そんなことをやっていますから、仕事のパフォーマンスは劣化します。これは分かりやすい事例ですね。

そういうことをいろいろと見てきているので、30代の頃から、急速、劣化しない人になりたいなと思っていたものです。

つまらない大人になりたくない!

というのは、佐野元春の20代の歌ですけど、いくつになっても、劣化したくないなと思います。。

していたらいやだな。。。知らないところで。。