『MR. ROBOT / ミスター・ロボット』:全10話なのに最終話は第9話とはなぜ?
『MR. ROBOT / ミスター・ロボット』を週末にイッキ見。
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昨年、AXNで放送されたエミー賞(米国のテレビドラマに与えられる賞。映画のアカデミー、音楽のグラミーみたいなもの)で、『MR. ROBOT / ミスター・ロボット』がかなりでていたので興味がありました。
日本ではAmazonの動画配信サービス「プライム・ビデオ」にて独占配信。「プライム・ビデオ」で、今日時点で何を見ればいいかと聞かれれば、『MR. ROBOT / ミスター・ロボット』と答えても問題がないくらいです(他にもいいのはあるのですけど)。
実は、本編を見るまで、本当のロボットドラマ(主人公がちょっと変わっているルックスだったし)だと誤解しておりました。
企画・プロディーサーは、Sam Esmail。彼は、エジプト系アメリカ人。そして、主演のラミ・マレックも、エジプト系アメリカ人。
ラミ・マレックは、TVドラマ『ザ・パシフィック』で死んだ日本兵から金歯を盗んでいたりしていたとても変なヤツだったメリエル・シェルトン伍長が記憶にあります(シェルトンは最後まで登場してとても印象的なキャラです)。この役もそうだったのですが、マレックのしゃべり方はとても変わっています。
セキュリティ会社(Allsecurity)に勤めるセキュリティエンジニアであるエリオット・オルダーソンのしゃべり方は、エンジニアにありがちというか、抑揚の大きくない話し方をします。このあたりのキャラクターデザインを含めて、コンピューターエンジニア、Linux/UNIX/インターネット文化をものすごく取り入れたストーリーです。
例えば、シーズン1は全10話です。しかし、エピソードは eps1.9 で終わります。つまり、シーズン1の9話。これは、最初のエピソードが 「0」 から始まるためです。コンピュータ言語C などでは、数字の最初は1ではなく、0 から始まります。そういうこともあり、数字を 0,1,2,3,4,5,6,7,8,9 と数えることがよくあります。そういうこともあり、エピソード数も、0 からカウントされます。
他にも、各エピソードのタイトルは、 eps1.0_hellofriend.mov というように、 タイトル+拡張子 です。さらに、タイトルの命名法もこっています。第4話「デーモン」は、 eps1.3_da3m0ns.mp4 です。 daemons を、e を 3に、 o をゼロ(0) にしています。daemon/デーモンとは、LinuxやUNIXで常駐してサービスを提供するプロセスです。こういったことにも細かくネタを仕込んできます。
さらに、ドラマに登場するコンピュータ画面(キーポイントになっています)でも、次のような出力がそのままでてきます。
- ssh ログイン画面
- ls -l の表示画面
- 起動しているプロセス確認
また、シーズン1の単著となる E-Corpに対するサイバー攻撃では、「DoS攻撃」という説明して、特にDoS攻撃の説明は実施されません。
『MR. ROBOT / ミスター・ロボット』は、このように日本のテレビドラマだと削ってしまうところが、きちっと表現されています。細かいながらも重要なコンピューターに強いという主人公の特徴や関係者が何をやろうとしているかということに対して、リアリティを与えます。そして、一般のUS視聴者のとっては、「よく分からない」ことですが、それは「分からない」ことをやっているということを印象づけます。
さて、ストーリー展開は、10話までずっと見ると「おお!」と思うこと間違いありません。前半の数話は、「なんか、モヤモヤするなぁ」と思っていたことが、後半の数話で「あー、という理由だからか」ということが腑に落ちます。
アマゾンプライムでは、シーズン2が4話まで配信されています。本国ではシーズン3まで決定しました。個人的には、シーズン3かシーズン4で終わった方がまとまりもよくていいと思います。
あとは、映画「ファイトクラブ」を思い出したりしますので、興味ある人は、ファイトクラブもお勧めです。