Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

IDC Directions 2015に参加して:攻めのIT、OSS、セキュリティ

IDC JapanのDirectionsという年1回のイベントに行ってきました。 世界的な動向を、米国本社のアナリスト(と一部日本法人)が基調講演を行って、昼からは、ブレイクアウトセッションとして、日本法人のアナリストが各分野ごとに方向性や分析を語るというスタイルです。

有償のセッションなので、詳細をブログに書くというのはNGなので、そこで聞いたことから、感じたことを。

日本はIT予算の70−75%をメンテナンス・保守に使っているけど、他の国は?

これとの対比で、「欧米では〜、なのに、日本は、、、」 とつながるのですが、前職の経験から、米国から送られてくる調査資料でも、世界的に70−75%がメンテナンス系に使われているとありました。

今回のIDC Directionsでも、米国のアナリストは、企業のIT部門が持っている予算の80%程度は、メンテナンス系と話をしていました。

で、「あれ??」となるわけですが、少し話を聞くと、「事業部門が持っているIT予算の内、メンテナンス系は、60%程度」といいます。そして合計すると、企業の持つIT予算の70%程度がメンテナンス系で、30%が「攻めのIT予算」といわれる、ビジネスを伸ばす関係に使われるものとなります。
(余談ですが、事業部ラインのことを英語では、Line of Business/LOBといいます。)

最近はやりのビッグデータなどの分析系や、マーケティングオートメーション系などは、多くは事業部門が管理する「攻めのIT予算」に入ってきます。世界的にも、日本でも、情報システム部門のIT予算はそれほど伸びることはないが、LOBのIT予算は今後も大きく伸びるとされています。

日本の最新情報はあまり知らないのですが、日本企業のITを使っていないというよくいわれる領域は、LOBのIT予算に位置することが多いと思います。LOBは、必ずしも非効率な投資ばかりをやっているわけではなく、例えば、製造業などの設計関係で利用されるワークステーションやサーバー、ソフトウェアなどは、世界的に見てもそれほど劣っていることありません。難しいのは、それ以外のIT投資をどう効果的に行っていくかということになると思います。既存のITベンダーは、情報システム部門との関係は強いのですが、それ以外の事業部とはそれほどではないことも多く、なかなかうまく話を進められないということもよく聞いています。

オープンソースがITシステムの基盤となる

他社のアナリストは、ほぼこの件を取り上げているのはみないのですが、IDC のアナリストの場合は、オープンソースがクラウド基盤やソフトウェア定義インフラの中核を占めていることから、しっかりとしたOSSへの取り組みが重要だと主張されています(本当に、未だにアナリストレポートでOSSの重要性を主張しているものは少ないのです)。

個人的には、SaaS以外は、この数年、ソフトウェアソリューションではOSSの動向以外には、先端は追いかけていません。それを追いかけておくと、その後に、商用ソフトウェアが同じような取り組みをしてくるので、理解できるからです。
(OSSとはまったく違って、ものすごくクローズソースなソリューションで追いかけるならば、SaaS だと思います。)

セキュリティがさらに重要に

最新の国内CIO調査では、もっと重要なIT課題は、「セキュリティ・リスク管理の強化」であるそうです。

LOBのIT予算が増えるので、情報システム部門の役割が減るということはありません。セールフォースやマルケトなどのクラウドを前提としたクラウドソリューションをLOBが積極的に利用するとしても、セキュリティ問題から逃げることはできませんし、LOBのメンバーがセキュリティの熟練になっていくことは、それほどの大きな期待はできないと思います。そこで、ポイントは、情報システム部門やベンダーは、セキュリティ対策にしっかりと取り組む必要があると考えています。

しかし、セキュリティについては、なかなか取っつきにくいのも事実なんですよね。他のIT分野とは違った単語も多くて、ついて行けないと感じる人も多いようです。ただ、この分野は、ハードウェア、ソフトウェア、クラウド関係なく、重要で、今後も需要が高いので、ユーザーも、ベンダーで働く人も勉強、対策しておくといいと思います。
(むかーし、むかーし、Windows NT セキュリティの本を出版したことがあるのですが、その頃は、本当に情報が少なくて苦労しました。今は、IPAサイトなど初心者向けからいろいろなリソースがあるので、きっかけは作りやすいと思います)


イベント全体では、IoTの話が多かったです。今やこのキーワードは、産業革命!!!とかという凄い単語と一緒に用いられることも多いですが、ちょうどたちが上がってきたところなので、これから1年くらい動向を見ながらというのが、一般的なプレイヤーの立ち位置になるかなと思います。