『日本経済のシナリオ』(竹中平蔵/高橋洋一 著) 感想 「竹中さん、感謝を語る」
小泉純一郎元総理の経済ブレーンだった竹中平蔵氏と高橋洋一氏による対談をベースにした書籍。
竹中さんのことを取り上げると、「新自由主義かー」とかいろいろと批判が来そうですが、、個人的には、2000年代は、あまりポジティブな印象を持っていなかったのが、この3年ほどは、他の人より、よっぽどまっとうなことを話をしていると感じるくらいになっているくらいの、周りの学者やエコノミストの方の???な発言が続いていたりの状況です。
『本経済のシナリオ』(竹中平蔵/高橋洋一 著)
20代の頃から友人であった2人で、テレビなどは一緒に出てくることも最近はありますが、紙の書籍としての共著は初めてだとか。
竹中平蔵×髙橋洋一のぶっちゃけ経済会議、
いよいよ、ここに開幕!!
と、かなり自由に話をされています。
2人の対談なので、経済トピックが中核ですが、少し違ったところが気になったので、そのあたりを。
いろいろとたたかれたりしていることが多けれど、どうしてがんばれているかについて
2つほど、竹中さんの興味深い発言をピックアップすると。
どうしてがんばれているかについて
『高校3年のときの倫理・社会の先生の言葉にあります。当時の僕は「なぜ大学に行くんだろう、何を勉強したらいいんだろう」とけっこう悩んでいた。
そんなとき、先生はこう言ったんです。
「大学に行く人は大学に行けない人の分まで勉強しろ」と。僕が通っていたのは田舎の進学校でしたが、大学に行けない人もいた。つまり、僕は恵まれているんです。大学にも行けたし、高橋さんのような優秀な後輩に巡り会って、(略) すごく恵まれていると思う。そのことに感謝して行動しないといけないという思いがいつもあるんですよ。僕を動かしているのは、何か高邁な志というよりは、そういう素朴な感謝なんです。』
この田舎の進学校というのは、 和歌山県立桐蔭高校です。はい、ぼくの母校なんです。
ちょうど竹中さんの世代が、和歌山では、現知事をはじめとして、この10年くらいをリードしてきたりした関係もあって、いろいろなルートから、竹中さんの高校時代からの話は聞くことがあります。同窓会で同窓生から、やっぱり批判されることもあるそうですが、一つ一つ説明して、最後はみんな納得するといったこともあるようです。
別の章にもこういう発言があります(この前後の話は、日本の教育の問題点なので、それは注意)。
和歌山の田舎で生まれた僕のような人間が大学に行けたというのは、やっぱりその当時の政策のおかげなんです。だからそのことは本当に感謝しています。僕が通った和歌山の公立小学校にも立派な先生がいて、ちゃんと教えてくれたわけです。公教育ってやっぱりすごいですよ
この2つの発言を読めば、かなり竹中さんに対する印象が違ってくる人もいるのではないでしょうか?
本の中では、やっぱり、発言のところどころは、少し納得できないところもあります。しかし、全体としては、とてもおもしろい本です。
経済問題が中心の本ですが、芯を貫いていると感じたは、次の3つです。
- 普通のことを、基本を大切に行うことが大切
- ダイバーシティが大切
- 教育は、考える力を育てることが大切
1時間程度で読める本ですので、通勤やちょっとした休憩で読み終えると思いますので、読んでみてください。