Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

日本人は、やたらSWOT分析好き→そろそろ新しいものに

あまり、このブログには実際の仕事の内容を書くことはありません(公開できないことも多いので)が、今回は、一般論なので、書いてみます。

この半年くらい、いくつかの企業から、マーケティング、特に、B2Bマーケティング(法人向け)のトレーニングのご依頼をいただきます。

さて、その中でも、すごく気になるのが、

日本人はSWOT分析好き

ということです。でも、

で、経験上、グローバル企業で仕事をしたり、今も仕事をしているのですが、

海外の人で、SWOT分析を使っているのは見たことがない!(経験上)


書籍などを含めて、多くのマーケティングにかかわる書籍や情報は、B2Cマーケティング(消費者向け) に関するものがほとんどといってもいいかもしれません。書籍の中で、B2Cの内容が多いが、B2Bにも考え方は使えますという記述があるケースがありますが、ほとんど使えないのです。(他にも、多くのマーケティング書籍が、製造業モデルであることも使いにくい原因でもあります)

B2Bマーケティング、特に、ハイテク/IT分野においては、以下のような特徴があります。

  • B2B製品は、B2C製品に比べて、通常は高額な商品である(家や高級車の場合は、B2B製品よりも高い場合もある)
  • 顧客との接点は、セールス、ウェブ、セミナーやイベント、パートナー、電話といった多くのタッチポイント(接点) がある
  • 購買時の意思決定にかかわる人が多数にのぼる
  • IT分野の場合、製品の機能、ベネフィット、仕様が高度なことが多く、専門家でないと理解に時間がかかることも多い。
  • さらに、ビジネス上の決定者だけでなく、技術チームで決定に影響を及ぼす決定者もいる

これらの背景をよく理解した上で、マーケティングプランニングを実施していきます。

通常は、次のプロセスになります。

マーケティング戦略作成

市場の調査・分析を行い、自社をとって、一番いいポジションニングを決定します。多くは環境分析、顧客分析、競合分析、自社分析を行い、決定します。

ただし、ポジショニング理論を取らない流派もあります。このフェーズは、戦略を決めると理解してください。

マーケティング戦略作成

先に決定したポジショニングを実現するための「戦術(アクション)」を考えます。一つ以上のさまざまなマーケティング施策を活用しながら、自社にとって最もうまくいく確率が高く、効率的なアクションを行います。当然、うまくいかない場合は、改善しながら実施します。

さて、この戦略を作っていくときに、たいてい、ビジネスを分析するフレームワークというものが利用されます。(個人的にはフレームワークというよりは、用語に近いと思いますが)、4Pなどです。

で、こういうときに、日系企業や、外資系でも、日本人ばかりの場合は、やたらと、SWOT分析するのです。(経産省のITコーディネーターでも進めているようなのすよね。。。)

SWOT分析以外は存在しないかのように。。

前職時代は、米国の事業戦略グループ(Strategy & Planningなんていう名前が多い。日本では事業戦略室とか経営企画室にあたる)や世界的なビジネスコンサルティングとの付き合いや、情報のやり取りをしていました。協業することも多い仕事だったので、他社のプランもよく見ていますし、一緒に作る場合も多かったのです。

で、そのころから、

SWOT分析を使っているのは見たことがない!

米国(それ以外の国はちょっと知らない)では、SWOT分析は役割を終えて(口が悪い人は、時代遅れ)、使われる頻度は高くありません(米国のビジネススクールの先生なども質問したことあります)。理由は、いくつかありますが、ざっと次のようなものです。

  1. データに基づく分析ではないため、分析が弱い(データの不足)
  2. 分析者の認知の問題に依存する(認知の問題)
  3. 分析者が自分の弱みを本当に認めないといけない (気持ちの問題)
  4. 見る人が、自分の弱みを認められない(気持ちの問題)
  5. 何をもって、強いか、弱いか、脅威なのかがわからない(基準の不足)

データに基づかない、主観的な分析になりがちだと思っています。そして、なされた分析から、実際の活動に落とし込むのがとても大変だと思っています。

「いや!違う、今も、SWOT分析は有用だ!」という主張もあるでしょうが、マーケティングフレームワークには、流行りすたりがあるので、その中から、よさそうなものを使うのがおすすめです。結局、また新しいものがでてきます。そのため、研修のときは、いくつかのものを組み合わせて紹介しています。

特に、ハイテク/ITマーケティングでは、キャズム理論が相変わらずの人気ですが、こちらは、海外でも引き続き人気ですので、こちらは、使うことが多いです。ただし、実際に使うには、書籍だけでは大変なこともありますので、そのあたりを、研修でフォローしています。

最後に、宣伝となりますが、『B2Bマーケティングブートキャンプ』という研修メニューを作って展開中です。今の時代ですから、デジタルマーケティングについても内容に含んでいます。レクチャーだけではなく、ワークショップも行って、次の日から活動できる内容になっておりますので、お問い合わせいただけましたら、うれしいです。研修事業が柱ではないので、コストも高くないです。

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