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Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

地方からITエンジニアが消えていく

IT市場動向 クラウド キャリア
エンジニアは、地方から首都圏へ

Facebookである人が、「関西にいる同級生がどんどん転勤や単身赴任で東京方面に行っている」とポスト。それに、呼応する形で、実際に関西から東京へ単身赴任中のIT企業のエンジニアのリプライがあった。

また、先日、ある地方のSI事業者に、取材に行ったとき、現場のマネージャーから、「この数年で、地方のエンジニアのスキルが落ちたという実感がある。競合と提案しても、コンサバだし、一昔前の提案が多い」という話を聞いた。

実際に、僕自身も、90年代は、神戸でソフトウェア開発者であったが、今は、東京で働いている状況だ。

ITバブル崩壊以降、他の産業から遅れて、IT産業の首都圏への集中化が起こっている実感は、多くの業界関係者が持っている。

IT産業を語るとき、ゲーム産業やウェブサービス産業と混在して語られる場合が多いが、IT産業というときは、歴史的には、コンピューターを中心にした製品販売、システム開発となる。

大規模案件を受注するには、規模が必要


その国内IT市場規模は、約14兆円であり、その中でもITサービス市場規模は、5兆円IDCジャパン調べ)。

かなりの規模。日本の中核産業の1つといっていいはず(しかも、成長している)。ITサービスの中には、教育、システム構築、コンサルティング、アウトソーシングなど多数の業種がある。ただし、一般的にITサービスの中核で、イメージするのは、システム提案、構築、運用を実施するシステムインテグレーション事業(SI事業)だと思う。

SI事業は、人が中核になっているビジネスで、社員数が多いと売上が大きい。そして、大きな案件を受注するには、人が必要という産業構造を持っている。結果として、2000年代以降、特に、2005年以降は、売上を拡大するために、M&Aが盛んになり、子会社統合など含めて、集約化が進んだ(欧米に比較して、ITサービス市場でトップ10社が占める売上比率は、過去から高いが、さらに高くなった)。

多数の人員を必要とするITシステムは、メガバンク、大手証券、通信産業、中央省庁などがある。それらのほとんどが、首都圏に位置する。これらのビジネス獲得を目指すことが、自社の生き残りになるという判断となる。結果として、地方で仕事がなくなったエンジニアを、首都圏へ単身赴任、転勤させることで、ビジネスを成長させてきたということになる。

地方でIT案件増えても、よいエンジニアがいる?


アベノミクス以降、徐々にではあるが経済の見通しもよくなってきている現状がある。今後、(消費税増税のネガティブインパクトが怖いという状況がある)、企業投資も進んでいくことが推察できるし、また、一部、実際に進みつつある。

通常、多くの企業では、IT投資は、売上を作る投資というより、コストとみなされることがほとんどである(情報システム部門は、通常、経理・総務などの管轄がほとんど)そのため、企業の売上を生むような設備投資よりも、遅れて増加する。その中でも、ITサービスは、IT投資でも後期に実施される傾向になる(たいてい、PCなどの低価格なものから投資される)。

このとき、首都圏の企業であれば、地方から集約化されたエンジニアをたくさん雇用しているSI事業者から、最新で、最適なサービスを購入すれば対応できるだろう。

しかし、首都圏以外の地域では、うまく最新で、最適なITサービスを購入できない可能性が高いのではないかという懸念がある。クラウドがあるからイイじゃないかという指摘があるかもしれないが、クラウドでも、その環境上にシステム構築が必要となるので、ITサービスが必要になる(実際、一番有名なアマゾンウェブサービスを使いこなすには、高い知識が必要。そのため、ITを本業にしていない企業が、すべて、その上にシステム構築をするのは、現実的ではないため、SI事業者に依頼するだろう)。

大企業になったSI事業者から見ると、地域のIT案件は、規模が小さすぎて、採算があわず、対応できないことも多い。おそらく、今後、地域の企業が投資を増やしたとしても、対応できない可能性が高い。また、地域のSI事業者も、エンジニアを首都圏に移動させてしまっているので場合も多い。(本社が地方にあっても、エンジニアは東京)

また、今から増やそうと思っても、大学を卒業しようとしているエンジニア志向の学生や若手は、システムインテグレーション業よりも、ゲーム開発やウェブサービス開発に目が向いていることが多く、この数年は、SIオワコン説が跋扈しているため、ネガティブな印象を持つ人も多いだろう(エンジニア35才定年説とか、この手のネガティブオピニオンが、成長産業なのに過去から多い)。

また、地方でSIをやろうと思っても、景気が本当に今後よくなるのかという不安もあり、再度、デフレスパイラルで仕事がなくなるのがこわいので、首都圏でがんばろうという思う人も多いかもしれない。

つまり、SIエンジニアの供給制約が発生する可能性があるかもしれない。

そのため、地域の企業は、あまり効果的でないIT投資を実施する可能性が高くなると考えている(今でも、地方に行くとわかるのが、首都圏では一段落している仮想化案件がやっと進んでいるところも多い。首都圏にいると信じられない人も多いと思うが)。

かなり違う産業だけど、地方で増えた公共事業予算の執行がスムーズにできないという状況が続いている。それは、作業員の供給制約が発生しているからだという。

建設業、強まる人材難 求人倍率2倍超に 公共事業拡大に制約

http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS3002J_T00C13A1NN1000/

建設業の人手不足が強まっている。震災復興需要で求人は増えているが、有効求人倍率は技術職、労務職ともに2倍を超えた。就業者が15年間で3割減少するなど建設業の「冬の時代」が続いたことが響き、需要があっても人が集まらない。自民・公明による新政権は防災名目で公共事業の拡大を目指すが、人材難が制約になりそうだ。(柳瀬和央)

これは、建設業が、昔に比べて、「現在の土木事業はかつてのイメージとは異なりまして高度に技術化された職」(飯田泰之准教授、明治大学、参議院での公述)になっていて、すぐには人は増えないという構造があるからだという。

一度、産業構造に変化が起こってしまうと、数年ですぐに変更できないということだろう。

同じく、産業規模が大きくなってしまったITサービス市場で、産業の変化が起こってしまっているのは事実だと思う。
このとき、SIエンジニア供給制約は、発生するのかどうかは、わからないけど。。

(MySQLのスーパーなエンジニア 奥野さんとか、ぼくの前職の会社のスペシャルなエンジニアとかは、地方在住でも、仕事があるように、ある一定のレベルを超えるとどこでも仕事できるようになるのは、いうまでもないですのですけどね。。別に日本では働かなくても、好きなところで働けるくらいな方々なので)