読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

感想: 『ガソリン生活』(伊坂幸太朗著) ~ 「ワイパー動く!」ね ~

GWに読んだ一冊(続)。

伊坂幸太郎の新作『ガソリン生活』。本作は、朝日新聞で1年間にわたり連載されていた小説を大幅加筆修正した一冊。

伊坂幸太郎の本は、書籍になっている小説は、全部読んでいるはず。そんな経験から判断すれば、伊坂幸太朗は、何度もこのブログで書いているように、『ゴールデンスランバー』以降は、模索が続く状態が数年。それが、徐々に調子が戻ってきている気がします。


本作の語り手は、緑のデミオ(マツダの車ね)。車同士は、実は、排出ガスの届く距離で会話している。車は、列車のことを尊敬している。自転車とはわかり合えない。そして、ものすごく車の言葉の表現は、多彩でキュート。驚くことを、「ワイパー動く!」なんてね。

車同士は、それぞれ、名前を持っている。緑のデミオは、緑デミ(ミドデミ)。お隣さんの校長先生が持っているカローラは、ザッパ。校長先生が、フランク・ザッパの大ファンだからザッパ。
フランク・ザッパは、70年代から90年代にかけて活躍しした天才ミュージシャン。

本作には、フランク・ザッパの言葉がたくさん引用されている。例えば、こういうもの。

失敗したからと言って狼狽する必要は全然無い。 人間の思惑というやつが99%の確率で出遭う必然的な結果が失敗でありごく普通の状態なのだ。

舞台は、いつもと同じく伊坂氏の住む仙台。緑デミの持ち主望月家は、母兄姉弟の四人家族。兄・良夫が、元女優を緑デミに乗せた日から物語は始まる。ミステリー仕立てだけど、謎は、本作の中盤には明らかになっているので、それよりも、家族小説として楽しんだ方が絶対にいい。そして、本作の語り手である緑デミ(ミドデミ)と他の車との会話を楽しむ本。

小説には珍しくエピローグもしっかりと書かれていて、とってもハートウォーミングな小説。大ネタ好きのミステリーファンには、物足りないだろうけど、伊坂幸太郎のストーリーテリングが好きな人には、最近で一番おすすめ。

(いつも似ているといわれる村上春樹の新作と同時期に出版されるのも縁でしょう。ぼくは、村上春樹ファンから、伊坂幸太郎へ転向してからかなりたつけど、エンタメ的なものが好きなら、伊坂幸太朗ですよね。)