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Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

[感想]光圀伝(冲方 丁) - 文句なくおもしろく、泣ける一冊

最近、映画にもなった『天地明察』に続く、沖方丁の時代小説第二弾が、『光圀伝』です。

使い古された説明ですが、「水戸黄門」こと水戸光圀の生涯を扱った小説です。歴史の教科書にでてきた光圀のぼくの記憶は、「大日本史」を編纂したことくらいです。もちろん、「水戸黄門」は、フィクションで、実際には、日本全国に旅に行ったこともないことも知っています。ただ、その程度の知識しかないために、初めて知った人物のように新鮮に読めた一冊です。

本の紹介は、以下です。

なぜ「あの男」を自らの手で殺めることになったのか―。老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で、誰にも語ることのなかったその経緯を書き綴ることを決意する。父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き“虎”は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す―。生き切る、とはこういうことだ。誰も見たこともない「水戸黄門」伝、開幕。

トータル750ページ。少年期から最晩年までの水戸光圀の一代を描く大作です。

僕は、いわゆる「ハードボイルド」のような小説や映画が苦手です。そのためか、家を継ぐときの大義が兄にあるから、家を継げないと認識したあとの彼が考えた行動は、あまり共感はしません。それを横に置いたとしても、この小説の骨格をなす幹は太く、まさに大作といってふさわしい一冊に仕上がっています。『天地明察』とは違った、人の義とは何かを問いかける書となっています。(天地明察と同時期を扱った小説ですから、当然、あの人も登場します。)

途中、なんどか「ぐっ」とくる描写があります。このあたりは、本当にうまいです。基本的に、実在の人物をキャラクターとして、登場させていますが、たぶん、「左近」は、実在ではないですよね? 彼女の存在が、小説の後半には重要なバランスとなっています。

沖方さんと言えば、第24回(2003年) 日本SF大賞受賞「マルドゥック・スクランブル」をとったSF小説の人という認識は、この2冊で変わって、今後は、歴史小説の沖方さんになるのか?

今年のこのミスなどのエンタメ系小説ランキングで、1位になる可能性が高い気がします(たぶん、トップ3には入ると思う)。