Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

感想: 「粘膜シリーズ」第4弾 『粘膜戦士』(飴村行著)

飴村行氏の「粘膜シリーズ」第4弾『粘膜戦士』読了。飴村氏は、福島県出身の1969年生まれ。東京歯科大学を中退し、アルバイトなどを経験。2008年
『粘膜人間』で日本ホラー小説大賞長編賞を受賞し、デビュー。やはり、人気を決定づけたのは、日本推理作家協会賞を受けた『粘膜蜥蜴(とかげ)』ですね。その後、『粘膜兄弟』を経て、今回初めての短編集となるのが、この『粘膜戦士』になります。

粘膜戦士 (角川ホラー文庫)

粘膜戦士 (角川ホラー文庫)

読んだことがない人には、なぜ粘膜かよくわからないシリーズです。ホラー小説に入っているので、ホラーと思って読むと、違います。グロテクスなSFといった感じだと思います。舞台は、おそらく戦前の日本です。しかし、そのころより、科学技術は進んでいる設定です。例えば、収録された戦地で負傷した帰還兵は、強化されて帰宅する。その強化された体には、各種のハイテク装置がついてる(TV通信とか)などなど。そして、東南アジアに存在する設定であるが、現実には実際には存在しない国 ナムールが舞台になることも多くあります。また、シリーズにかかせないのがナムールに生息する爬虫人(ヘルビノ)。は虫類の頭なのだが、体や知能は人間と同じ。つまり、現実とは、少しずれた世界の話です。

シリーズすべてに渡って、基本的に、極めてグロい。特に、拷問シーンがよくでてくる。そして、エロい。でも、そのエロさは、どこか崩れている。ストーリーの組み立て自体は、極めて、まっとうで、おもしろい展開を締めます。特に第2弾『粘膜蜥蜴』は、悲しくともなる傑作小説。

今回は、占領地 ナムールでトンデモない命令を上官からされる兵士の話、戦地で負傷して帰国した帰還兵の話、ヘルビノのサーカスに魅せられる少年の話、スパイを拷問する話などです。第3弾は、話が長すぎて、ヘルビノの謎解きにはいいのですが、しまりがなくイマイチな感じでした。今回は、短編ということで、非常にまとまった佳作です。


エロ、グロな小説を好きな人は、おすすめです(なのかなぁ。。、平山夢明さんの本とかが好き路線なのかなぁ)