Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

『パラダイス・ロスト』(柳広司著)と『検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む』(倉山満著)感想

最近、読書熱がぶり返したように、かなりの勢いで本読んでいます(でも、速読法の人ではないので、30分で一冊なんていうスピードではないです)。

まずは、1冊目は、『パラダイス・ロストhttp://www.amazon.co.jp/dp/4334036740 。 著者は、ジョーカーゲームで一躍人気作家になった柳 広司氏。ジョーカーゲームの特徴といわれたのは、短い文体でスタイリッシュにストーリーを進めていき、最後にミステリーらしくきれいに落とすということ。続編ダブル・ジョーカーに続いて、3作目が、このパラダイス・ロスト です。ダブル・ジョーカーに収められた最終話につながるのかと思ったら(結構、最後にどんでん返しがあって、どうなるのかというところで終わった)、何事もなかったように、3作目がスタートします(ォィぉぃ)。収められているのは、全5編で、初めての中編(上・下)を含みます。

この手の小説は、内容を紹介するだけで、ネタ紹介になってしまいがちなので、次の出版社の紹介文で十分でしょう。

大日本帝国陸軍内に極秘裏に設立された、スパイ養成学校“D機関”。「死ぬな。殺すな。とらわれるな」―軍隊組織を真っ向から否定する戒律を持つこの機関をたった一人で作り上げた結城中佐の正体を暴こうとする男が現れた。英国タイムズ紙極東特派員アーロン・プライス。だが“魔王”結城は、まるで幽霊のように、一切足跡を残さない。ある日プライスは、ふとした発見から結城の意外な生い立ちを知ることとなる―(『追跡』)。ハワイ沖の豪華客船を舞台にしたシリーズ初の中篇「暗号名ケルベロス」を含む、全5篇。

生い立ちについては、ゴルゴ13の生い立ち話みたいなものですね。正体不明の人の過去を追いかけると。。。という感じで。第1作は、星5つ、第2作は、星3つ、この第3作パラダイス・ロストは、星4つという感じです。おすすめはタイトルになったパラダイス・ロストです。

2冊目は、昨年あるイベントで知り合いなった倉山満さんの最新著作『検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む (光文社新書)』http://www.amazon.co.jp/dp/4334036740
この手の分野の書き手は、30年くらい変わっていないかと思うくらい、メンバーチェンジしていませんが、倉山さんは、まだ若いです。
若いなぁと思うのが、アマゾンの著者紹介動画配信にご本人が登場されていることでしょうね。

最近の政権は、財務省政権と揶揄されるほどの力を持つようになった財務省(大蔵省)の歴史を追った書籍です。お役所だけに、明治以降の歴史については、正史としてきちんとまとめられているわけですね。それらを中心にして、関係者書籍を丹念にまとめ上げた一冊です。

おもしろいと思ったのが、昔から、日本は、基本は法治国家だったということですね。明治・大正・昭和・平成とつながっても、いくら最強官庁といわれる財務省でも、政治家でも、あるいは軍ですら、「決まった法律」は、守っているということです。つまり、法律できまっていないようなことは、守るわけでないということの裏返しです(例えば、民主党で話題になった事業仕分けは、法理的根拠がなかったので、結局、仕分けされても守られないとかですね)。

うっかりして忘れていたのが、竹下元総理が、2000年までご存命だったことですね。自分の中では、金丸事件くらいのときに過去になっていたのですが、竹下さんは、その後も、しっかりと権力を維持したわけです。なかなかすごい。孫のDAIGO だけ見ていてもわからないけど。。(日本の最強権力者の孫が、DAIGOというも、ある意味シュールだよなぁと本読んで思いました)。

興味深かったのは、明治から大正にかけての話です(逆に、自分にとって、田中角栄以降にそれほど興味ないことを再確認した訳ですが)。新書なので、知的探求として読むのがおすすめです。