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Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

本気で働く会社が、本気で働きたい人求めています ~ サイバーエージェント 人事本部長訪問 ~ 第1回

先週、11月10日に、サイバーエージェント取締役人事本部長 曽山( @SOYAMA ) さん、シニアマネージャー 大八木さんを訪問してきました。この日まで、実は、一度もお会いしことはありませんでした。

まず、訪問にいたった経過を紹介して、実際に聞かせていただいたことを紹介したいと思います。

  • Twitterでの突然のお願い

サイバーエージェント 藤田 晋社長の10月12日付けのブログ (http://ameblo.jp/shibuya/entry-11045885401.html ) が、ネットで大きく話題になりました。それは、「退職金とミスマッチ制度」と題されたものでした。特に、話題になったのは、ミスマッチ制度です。ミスマッチ制度とは、どういうものでしょうか? ブログから引用します。

・下位5%をD評価とする。
・D評価1回でイエローカード、2回目でレッドカードとなり、2回目で部署異動または退職勧奨のいずれかを選択してもらいます。
・仕事のパフォーマンスだけでなく、価値観、文化の合わない人が対象となります。

ぼくが、フォローしているTwitter関係者でも話題になりました。詳しく話を聞きたいなぁというTweetも見かけたこともあり、僕自身も、気になったので、ここは、ダメ元で、サイバーエージェント取締役人事本部長 曽山さんに、「話を聞かせていただけないか?」とMentionして、お願いしました。すると、なんと、了解をいただきました。

個人的に、この1年近く、「IT業界のキャリアデザインを支援する会」 http://www.facebook.com/carrierdesign を企画、運営してきたことから、このような仕組みについては、興味を持っていたところあったこと、そして、キャリア関係の情報を調べていると、最近、曽山さんの活躍記事を目にする機会があったため、一度話をきかせていただけないかと思っていた矢先だったのです。、

  • 明るい挨拶に囲まれる

当日、某社の方(女性です)と2名で、渋谷のオフィスの受付に座って待っていました。ぼくたち以外にも、数組、入り口で待っていました。その前を歩いていくサイバーエージェントの社員の方々が、訪問する僕たちに明るく挨拶をされていくのに気がつきました。一人だけでなく、通過する社員の方全員が挨拶するのです。アシスタントの方に案内されて、オフィスの中に入りました。オフィス自体のレイアウトも明るいのですが、そこで働かれているみなさんから、「こんにちは!」 という明るい挨拶をたくさんいただきました。

最近のネットで話題だったことの1つで、「IT業界の人は挨拶しない」ということがあったのですが、そんなことは、みじんも感じさせないオフィス初体験でした。

さて、取締役人事本部長 曽山さん、シニアマネージャー 大八木さんとの対面です。ここでも、大きな声で、挨拶をいただき、非常に恐縮したのでした。

「IT業界のキャリアデザインを支援する会」の紹介をさせていただき(さすがに、何者なのかを紹介しないということで)、本題へと。

  • 「軸」をつくる

まずは、サイバーエージェントの紹介と人事の仕組みの話を聞かせていただくことにしました。

サイバーエージェントは、1998年創立された企業で、昨年度の売上げ1195.78億円、グループ社員2000人(男女はほぼ同数)です(http://www.cyberagent.co.jp/ir/reference/highlight/) 。ITバブル後は、30%という高い退職率があり、人材の定着に苦労されたそうです。そのため、この状況を変えなくてはいけないということで、さまざまな施策を実施されてきました。

当時は、さまざまな問題を抱えていて、まとめると、次のようになるそうです。

  1. ビジョンや価値観の浸透がなかった
  2. 社員同士のつながりが希薄だった
  3. 自分が認められる機会が少なかった

このため、2003年にはじめて役員合宿を実施して、人事強化を図ることを決定することになります。エクセレントカンパニーと呼ばれている企業では、HP Way (ヒューレット・パッカード http://www.daijob.com/en/jobs/introduction/5477 *1 )やクレド( ジョンソン・エンド・ジョンソン http://www.jnj.co.jp/group/credo/index.html )などがあります。そのような軸にあたるものを明文化しようという取り組みを開始されました。社員から集められた人々や役員の方々が話し合ってアイデアを出し合ったそうです。

− どのようにして決めたのですか?
曽山さん「バージョンアップ委員会という社内の活性化の委員会があり、その中で話し合ってきました。98年頃にできた会社にかかわらず、2003年ごろの生え抜き社員の流行語『昔のサイバーはよかった』というのがありました。『じゃ、何が大事だったのか』という言葉をまとめることになりました。そして、最後は、藤田の言葉に直して、社長が決めました。」

− 最後はやはり社長が?
曽山さん「はい、そうです。人事にきてから、私も気がついたのですが、最後は、トップが決めないと軸が決まらないのです。ここを現場にまかせると、とてもつまらない言葉になってしまうのです。」

この決定されたものが、ビジョン、マキシムズ(行動規範)、ミッションステートメント http://www.cyberagent.co.jp/corporate/vision.html になります。詳しくは、ウェブに掲載されています。この中で、ぼくが気に入った言葉は、これです。

  • 行動者のほうが、カッコイイ

− ぼくはこの言葉が一番気に入ったののですが?
曽山さん「口ばかりで、手を動かないような人を採用して失敗しているので、それをアンチテーゼとしていれているのです。」
− 策定された当時は、まだ営業だったと思いますが、現場としてどう思いましたか?
曽山さん「これを経営として、言い切ってくれるということがうれしかった。軸が明文化されていない会社だと、社長も日和見主義になってしまってしまいますから。」

この行動規範(マキシムズ)を名刺サイズの「豆本」として社員全員に配っていて、いつも携帯できるようになっているそうです。実際に、この豆本をいただいたのですが、おしゃれな手帳みたいになっていて、手帳に入れていても、恥ずかしい感じのしないものになっています。

  • 終身雇用について

−終身雇用という言葉がありますが、これは、長く働くことに安住するという人をもとめているわけではありませんよね?
曽山さん「そうです。会社にとっては、有能である人、価値観の一緒である人を求めています。ぼくたちは、価値観を重視します。能力が少々低くても、一緒のベクトル、一緒の価値観を持っていれば、守っていきたいと思っています。この点は日本企業らしくやっていきたい。また、日本企業がやっていけなかったことをやっていきたいと思っています。」

  • 人事は、人事制度を作ることだけが仕事ではありません。

曽山さん「人事になったとき、まず人事の使命を定義しようと思いました。経営陣からは、強い人事、頼れる人事になってといわれましたが、現場の方は、経営のことはわかりません、上司以外に相談に乗ってくださいなどのいろいろと意見があった。結局、人事としては、会社のコミュニケーションエンジン、会社のハブになるということを決めました。経営陣のことを現場に伝え、現場からの声を経営陣に伝える。この使命を作ったのが大事だと思っています。経営陣の言葉をそのまま伝えてしまう人事も多いと思いますが、それはシラケになりがちです。社長が、こう言ったから、こうだというような伝え方は最悪だと思っています。現場が、受け止めやすいようにするということにイノベーションがあると思っています。人事は、経営陣からも、現場からもしらけられたら、人事としては終わりだと思っています。

  • 人事にとっては、制度は「運用がすべて」

曽山さん「すべての人事制度は『流行らないと意味がない』と思います。」

その中で紹介していただいたのが、「ジギョつく」という制度です。この制度は、半年に一度、誰でも参加できる事業プランコンテストです。1次審査後の2次審査では、全役員の前でプレゼンし、優勝すると「社長のイス」と100万円を提供するというものです。「社長のイス」というのは、革張りの高いイスというものではなく、本当に、会社を作って社長にしましょう!というものです。当初は、応募数も少なかったそうです(=流行っていない)。

曽山さん「いろいろと試行錯誤して、活動してきました。今は、1回で約350件、年二回実施していますので、約700件です。今、単体で社員は1000人くらいですので、おそらく日本で一番社員が出す率が高いと思っています。」

−ぼくは、役員の前でプレゼンするようになるまでには、10年ほどかかり、誰も教えてくれなかったので、とても苦労した経験があります。 こういう役員の方の前でプレゼンできる機会は貴重ではないでしょうか?
曽山さん「そうです。これは、育成なんですよね。育成機会と考えています。」

次に紹介していただいたのが、「あした会議」というものです。これは、役員対抗!で、新規事業案の優劣を競う会議です。しかも、発表さえた内容は、順位付けされて、公開されるというものなっています。

曽山さん「この会議は、決定の場になっています。人事も含めて決めています。ここからいくつもの事業が立ち上がっているので、強力なインキュベーションの仕組みなっています。そして、この会議は、現場の社員を役員ごとに4人くらい連れて行くことができることになっています。役員は、1ヶ月くらい、その4人とプラン作成にあたっています。現場の社員には、経営の軸を伝えることができるので、新規事業OJTのような役割も持っています。」

−上司が部下を抱えてしまって、はなさないというようなことは起こらないのでしょうか?
曽山さん「そのようなことにはなっていないですね。この会議のために、役員は、週数回現場と飲みに行くなどして、誰が優秀かということを把握してきています。この会議は順位が公開されるので、最下位にはなりたくないので、しょっちゅう、現場の人に聞いています。そのため、マネージャーが隠せるというような状況にならないのです。ブラックボックスを作らないというのが社内では重要だと思っています。」

長くなってきましたので、本題のミスマッチ制度について、そして、これらをリードしてきている曽山さんと、最近、現場マネージャーから人事マネージャーになった大八木さんに、さらに詳しく話をお聞きした内容は、次回へ。。続く。

  • 告知:11月19日 明星大学で開催


【男性も女性もぜひ参加を】IT業界で働く女性(そしてみんな)のキャリアを一緒に考えましょう

https://www.ospn.jp/osc2011-fall/modules/eguide/event.php?eid=38

女性はもちろんのこと、OSCに参加される男性にも、ぜひ、ご参加を。
なんといっても、IT業界は、他の業界に比べ、比較的女性の採用が多い業界です(「IPA人材白書2011」)。そのため、同僚にも女性が多いと思われますし、また上司、部下にも女性が多いでしょう。そんな環境で働くみなさんにも役に立つディスカッションにしたいと思います。

これをきっかけに、自分のキャリアを見直してみませんか?

■ 司会------------------------------------------------------
 冨永 晶子 日本ヒューレット・パッカード株式会社
■ パネリスト-------------------------------------------------
◆ 遠藤 裕香 株式会社アシスト システム基盤ソフトウェア事業部 販売推進部 副部長
◆ 大久保 そのみ 日本アイ・ビー・エム株式会社 Linux/OSS & Cloudサポートセンター 部長

*1:ぼくの好きな言葉は、創業者ビル・ヒューレットの「どんな人でも、立派な仕事、創造的な仕事をしたいと望んでおり、適切な環境があれば必ずそうするものだ」です