Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

誰が殺した? 日本国憲法! / 倉山満

書評かけるほどの実力がないので、読書の秋ということで、何度かに分けて本の感想を書いていきたいと思います。

まず、第一弾としては、『 誰が殺した? 日本国憲法! / 倉山満』 です。いつも、ぼくはこういう本を読んでいるかというと、「ノー」です。基本的には、エンターテイメント系小説か、ビジネス書です。では、どうして、この本を手に取ったとかというと、先日あったイベントで、著者である倉山先生(大学で憲法学を教えている)と同席することがあり、その場でサイン本で購入させていただきたということになります。

誰が殺した? 日本国憲法!

誰が殺した? 日本国憲法!

内容としては、日本国憲法について、できる限りやさしく、戦後から最近までの憲法をめぐる事柄を、説明していった本です。といっても、やっぱりこの手の本は、苦手という人も多いと思います(はい、ぼくも苦手です)。本書の巻頭に、以下の文章があります。

「これから日本国憲法の話をしようと思います。けれども、「憲法」と聞いただけで嫌がる人も多いでしょう。どこかで聞いた、自衛隊や天皇の話かと思われるかもしれません。
そこで、別の話から始めます。そして、現在の日本人が生きる上で、どれほど憲法が大事なものであるかという話をします。現在日本の混迷を打破するカギとは何かを考えてみたいからです。」

すっと読めるのが、第一章「最高裁は人権を守らない」です。過去の裁判事例を元にして、いかに、日本国憲法と実際の最高裁の判例が、納得性がないものだったかという紹介をしています。例は、第25条の国民は最低限度の生活ができるという中学校でも、よく試験にでてくる条文に関する裁判です。

  • 第二十五条[1] すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

いろいろと苦しんでいる人が、この条文を基にして、「もっときちんと対応してよ!政府!」 という裁判を、最近でも目にすることが多いと思いますが、ご存知のように、たいてい却下されています。これ、どうしてなのよ? という説明から、本書は進んでいきます。このあたりの議論は、イデオロギーに関係なく、とてもわかりやすく議論が進んでいくので、おすすめです。

しかし、2章の憲法制定のあたりのストーリーは、簡単な文体なのですが、結構、前提知識が必要で、読みこなすのに苦労しました。

印象に残ったところは、(憲法の話ではないのですが) 「日本では、過去に暴虐の限りを尽くしたようなお殿様みたいなのがいなかった。あるいは、そういうお殿様は、お引き取り願うことが多かった」というくだり(当然意訳なんで)です。日本では、中国の歴代の王や最近だとポルポト政権を出すまでもなく、国内において、自分の民をすごく殺してしまうという事例は、確かにぼくの記憶にもありません(逆に生類憐みの令とかあるけど)。もちろん、織田信長の比叡山攻めとかありますが、そのあと光秀に殺されています。このような歴史を持つ国と、そうでない国との交渉などにおいては、国益の考え方の相違がでてくるのは、いたしかたないのかと思います。

ぼくの憲法の解釈に関する知識は、ほとんどないので(大学受験までで、社会は勉強しているので、条文なんかは覚えてましたよ。自信ありです)、内容に関して、深い感想はできないのですが、秋に、普段と違う本を読んでみたいという方は、手にとるのもいかがでしょうか?

最後に、なぜ、もともと、この手の分野(この本ではなく)の本が苦手かというと、文体がどうしてもなじめなくて、読めないのです。有名どころでは、立花隆(過激派扱ったものとか)氏、猪瀬直樹氏などの文章がどうしても、読み切れないので、読み飛ばすことが多かったのです。昔は、年間で100冊以上本読んでいたり、雑誌なども読んでいるんので、読書が苦手ということはないのですが、ダメだったのです。今回のこの本は、そういう感覚にあたらなかったので、感想を書いた次第でもあります。。