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Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

メディア対応: 2位じゃだめでも、1位がいいでもない

昨日から、京コンピュータが、スーパーコンピュータのランキング「Top500」で、1位の座を獲得したニュースは、テレビ、ウェブニュースを含めて大きく取り上げられました。

まず、プロジェクトのメンバーの方におめでとうございますと。そして、今回5位に入っている東工大チームにもおめでとうございます。

単に一位になっただけだったら、2002年の地球シミュレータがありましたが、当時はそこまでニュースになった記憶がありません。これは、ご存知のように「2位じゃいけないんですか?」で一番有名になった「事業仕訳け」で取り上げられたプロジェクトだったからです。

自分のスーパーコンピューターに対する考えや現在のビジネスの状況については、『Linuxビジネスの作り方』Vol6 http://jp.linux.com/whats-new/column/akai/342700 で紹介しました。Top500とはなんであるかを含めて説明していますので、参照してください。

実は、今回の発表で気になったのは、理化学研究所の記者会見だったのです。世界一になったということで開催されるであろう会見の内容に対する不安を、TwitterやFacebookで次のように書いていました。

『今度こそ一位じゃなくてはいけなかったのを説明できないとね。税金なんだから説明責任は常にあるので。それ説明できないかぎり、どこが政権でも突っ込まれるよ。』

当時の映像を蓮舫議員の発言だけでなく、ずっと見るとわかるのは、担当方々が、しっかりと回答していないことから、あの発言がでてくるのです。今回は、準備は十分できたでしょうから、それに対して回答してほしかったのです。

結果は、その不安通りの内容となってしまったように思えます(記者会見に参加していないので、全内容はわかりませんので、報道からの情報使用します)。

何かというと、少し前に、『メディア対応とパブリックリレーションズ』http://d.hatena.ne.jp/mktredwell/20110612/1307904814 で書いた準備が十分になされていたとは思えなかったのです。

今回、マスメディアは、「2位じゃいけないんですか?」 に対するコメントを1位を取った今だから言えるということを期待して集まっていることは容易に想像できます。

そのため、対象の想定が必要となります。いつも理化学研究所が付き合っているような科学系メディアではなく、一般マスコミが多数参加してきます。彼らは、当然、このTop500の世界1位という技術的な内容を十分理解した上での参加とは言えないという前提に立つ必要があります。(例えば、記者会見の内容では、「速い」ことを強調されていましたが、どれくらい「速い」ということを想起させる内容の説明ではなかったのではと思います。通常、IT業界の人でも、フロップスの話をされても、きっちりと理解できる人は多くありません。そのような方々を経由して伝えたい一般の人にどうやって伝えるかとうことが十分だと思えませんでした。) そのような前提をベースにして、対応してほしかったという気持ちです。

そして、今回の最重要ポイントである1位じゃないといけない理由の説明をする最大のチャンスを生かせていなかったことです。

野依氏は、今後の日本でのスーパコンピュータ開発について「ライバルも世界1位を目指して努力しているので、日本もトップを目指していくべきだ。そして性能だけでなく、どのように活用していくかも非常に重要。意思決定のプロセスを明確にし、国家戦略としての道筋を示していただきたい」ITMedia http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1106/20/news119.html

テレビで見た内容では、「科学と技術は、トップを目指さないといけない」ということもおっしゃていたと思います。

「ライバルが1位を目指しているので、日本も1位を目指さなくていけない」というのは、論理的な理由ではありません。なぜ、ライバルが1位を目指しているのかを説明していないように思えます。また、1位になったら、何が起こるのかということの説明がありません。次に「性能だけでなく、どのように活用していくかも非常に重要」とあります。スパコンの目的は、性能が1番なので、用途は1番目の目的でないように伝わります(それでもいいのですが)。

野依さんが、非常に記者会見などにたけているとは、経歴から考えると思えません。そのため、きちんと広報担当がついて、原稿作成、想定Q/A とかやっていなかったのではと思ってしまいます(ちがうかもしれないけど)。

例えば、長いので、もっと平易にしないといけないのですが、以下のような想定回答を使うようにしたらと思います。

  • 『現在社会は、ITがなくてはならい状況である。スパコンの開発は、そのようなIT産業の底上げにつながる。そのための基盤になるがスパコンの技術だ。社会の基盤であるスパコン技術が心もとないようでは大変である。そのために常に強化が必要となる。しかし、そのレベルをいつも把握して努力してく必要がある。そのため、自分たちがどの位置にいるかというのを客観的に判断する方法の一つして、TOP500を用いている。1位が目的ではなく、手段である。』

  • 『スパコンの利用は、多方面に拡大している。例えば、自分が研究しているときも、そのシミュレーションにお世話になった。地震の時のシミュレーションにも活躍している。現在、各科学分野で利用者に調査した結果、xxxx年ころには、xxxというような用途で計算が必要だというようなことがわかってきた。それを性能に置き換えると、今回の発表された性能値になる。』

となどいったような内容を言ってほしかったと思っています。

最後に、世界的な調査会社であるIDCから、最新の国内ハイパーフォーマンスコンピューティング市場予測が発表されました。

  • 2010年 国内HPC市場規模は、前年比成長率マイナス48.5%の大幅な減少
  • 2011年〜2015年の年平均成長率はプラス1.4%、2015年の市場規模は227億円
  • クラスター技術を応用した新たなアプリケーション開発の促進が必要

http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20110620Apr.html

ハイパーフォーマンスコンピューティング市場は、スパコン市場と考えて、おおよそ間違いではありません。厳しい市場動向であることがわかります。だからこそ、今回のニュースを最大限に活用して、アピールをしてほしかったというのが、元ビジネス関係者としての感想です。