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Akai's Insight & Memo

かなり小さなマーケティング会社の社長のブログ。MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長 赤井 誠。http://www.mkt-i.jp id:mktredwell

加護野忠男教授の最終講義

Twitter をしていると報道では知ることができないミクロなニュースを得ることができます。
神戸大学 金井教授 (@tkanai195) のTweetで、1月27日に、加護野先生の最終講義があることを知りました。

神戸大学のウェブの記事は、以下です。

1998年末、2週間ほどの準備で受験して合格した神戸大学経営大学院(いわゆるMBA) で、1999年入学当時の学科長(学部長?) だったのが、加護野先生でした。

神戸大学でのコースの特長の一つが、「プロジェクト方式」といわれるカリキュラムです。
プロジェクト方式とは、次のようなものです。
http://mba.kobe-u.ac.jp/admissible/index.htm から引用

「プロジェクト方式」とは、産業界からの要望の高い問題に含まれる解決すべき複数の課題について、それぞれ5〜6名の社会人学生からなるプロジェクトチームを編成し、学生相互間および教授陣・学生間でお互いに知恵を出し合いながら、共同研究により解決策を探る教育システムをいいます。本研究科では、1プロジェクトチームごとに、指導教授陣を中心とするきめの細かい教育研究体制を作りあげてきており、この教育方法は全国に例をみないユニークなものとして、社会より高く評価されています。

学生に提供される課題に関連する授業として、何度かの講義があり、また、プロジェクトチームごとのレポートの提出と評価があります。当時のぼくたちの担当が、加護野先生ということになります。

先生の講義の特長は、何といっても、話術にあります。実際に参考になる先生の著作は紹介しますが、その話を伝えていく過程で用いられる従業での小噺は、普通のお笑い芸人さんのレベルではありません。その小噺のふりが、結果として、授業で伝えたい結論(オチ)につながるということで、ぼくたちは、「経営漫談」と呼んでいたほどです。学校の先生で、こんなに面白い人がいるんだということで、衝撃を受けたもです。

ぼく個人としては、当時、キャリアとして、エンジニアからビジネスサイドにチェンジする途中であり、いろいろと悩みの多い時期でした。そんな中で、加護野先生の授業から学んだことは少なくありません。先生の研究室にいたわけではないので、何かその特定の主張に影響されたというわけではありませんが、いくつものものの見方や、ものごとの説明の方法などを学んだ気がします。(プレゼンテーションについては、明確な影響があります。)

先生の著作は、広い分野に及びます。その中でも、広く活用できる本を数冊紹介します。

まずは、定番になっている経営学入門です。

事業構造改革、コーポレートガバナンス、場のマネジメントなど、最新のトピックスを交えて、躍動感に満ちた企業のメカニズムを解明する「生きた経営学」の決定版。大学生、ビジネスマン、MBA志望者、必読のスタンダードテキスト。

経営学とはどのような学問であるかということを知りたい場合は、手に取って眺めてみてほしい本です。
ずっと読み続けるタイプの本ではありませんので、気になった時に読み返すと考えを整理するのに役立つと思います。

事業システムとしていかに価値を生み出し、いかに差別化するのか。また、トータルに生み出された価値を事業システム内でいかに配分するのか。競争の焦点となりつつある事業システムを一つの論として体系化する試み。

一般用語としては、「ビジネスモデル」の本ということになるかもしれません。しかし、ビジネスモデルという概念よりも、もっと広い意味で「事業システム」という用語を使っています。共著者の井上先生が若いこともあってか、ITやハイテク企業を事例に使った分析も多く、IT業界の人も役に立つ思います。

企業は新商品や新サービスの開発をめぐって熾烈な競争を繰り広げる。しかし現在、情報技術の発達を背景に、新しい、より重要な競争が始まっている。それは、部品や原材料の調達・生産・販売と流通・アフターサービスなどの「事業の仕組み」すなわち「事業システム」の競争である。新たに台頭したシステムに共通するのは「スピード」「組み合わせ」「集中特化」の論理であると著者はいう。本書では多くの実例をもとに「競争優位」に立ち続けるための企業戦略を論ずる。

これは、まさに当時通学していたころに出版された新書です。内容には、明らかに当時の神戸大学ビジネススクールでの学生との対話による情報が生かされていると思います(ご本人は確認していませんが)。「外から見えるようなモデルは、結局模倣されて終わるよ、外から見えない事業の仕組みをつくらないといけないよ」ということを、当時のITブームのころの題材を使って、語られます。

この本をベースにした内容で、日本HP時代に一般セミナーやエグゼクティブ向けセミナーで講演していただいこともありました。

ネット読める記事は以下のものがあります。

- 経営学の古典に学ぶ「新鮮なヒント」「普遍の原則」http://ht.ly/3Pp3W
- 上場しない「長寿企業」が元気な理由 http://ht.ly/3Pp8L
- 外部からのCEO招聘が失敗する4つの理由 http://ht.ly/3Ppbg

先生自身は、今後、甲南大学へ移籍されて、まだまだ活躍されるそうです。IT企業も、ネットサービス企業の方も、一度は、先生の講演を聞く機会があれば、参加してみてください。または、企画されて講演していただくこともいいと思います。